16期生、笠原昂史が水戸ホーリーホックに内定した。
彼は努力のできる子だった。
足が速く、FWをやったりGKをやったりしていた。
5年生になり本格的にGKをやり始めた。
なかなか上達しなかった。
練習時間の半分は笠原にボールを蹴った。
新人戦は地区大会の1回戦でPK負け。
俺はさじを投げた。
しかし、親は諦めなかった。
暇があればボールを投げてやった。
24回の全日予選、準決勝、相手は新座片山。
2点先制、直後に同点にされる。
赤井のグランドに片山の親の声が響いた。
3点目のシュート、やばい。
笠の右手が伸びてパンチング。
延長に入り3点が入り、片山戦の公式戦14戦目で初勝利。
全国でもギリギリの試合の連続。
準決勝、浜松JFCにPK負け。
みんな、泣いていた、飯が食えなかった。
クマガヤSCでも黙々とトレーニングに励んだ。
愚痴のひとつも言わず、泥だらけになりながら練習した。
一途な性格は,市船でも、明治でも認められたに違いない。
すぐに成功しなくても、笠はやり抜くに違いない。
俺が一番頭を痛めた奴だから。
何回、失敗しても立ち上がった奴だから。
あの時は、24時間お前のことを考えていた。
10年前の卒団式の予言通り、プロのスタートラインに立ったな。
昂史 おめでとう 笠原 更なる精進を
珍しく畑仕事をしなかった まつもと
PS、24回大会 山形の廣瀬5年生 浦和の原口3年生 みんな泣いていた。